for all bulmic imitators.

メモの堆積、ゴミの堆積

マシュー・ワーカス『パレードへようこそ』(2014)

 現代はPrideだがそれをパレードへ「ようこそ」っていうのは違和感がないわけではない。それにしても日本の配給会社はどうやって邦タイトル考えてるのだろうか。翻訳である以上、決して原題と同じようにとはいかないのは自明だが、それにしてもある作品対して原題がいかにして与えられたかを充分に思慮したうえで、それと同じくらいの責務と思慮をもってタイトルを付けるべきだろう。配給にまつわる様々な事情はもちろんあるだろうが、邦タイトルを付けることは原題を付けるくらい重要な仕事であるということは充分すぎるくらい認識されてよい。現場的事情であるにせよまたは文化的な事情であるにせよ、そういった認識が低いのが日本映画産業なのだろう。

パレードへようこそ [DVD]

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 80年代イギリスのサッチャー政権下で行われた炭鉱閉鎖に対し、労働者たちによるストライキが始まっていた。しかし経済的にかなり苦しいものがある。そこでロンドンのセクシャル・マイノリティ界隈で支援をしようという話が持ち上がる。なぜなら労働者もマイノリティも直面しているのは同じ敵サッチャー政権で、彼や彼女たちにとって炭鉱閉鎖は決して他人事ではないからだという。あまり賛同を示す人が少ないなか、それでも支援運動は開始され、ウェールズのディライスという炭鉱への支援を行うことになる。しかし当時は同時にAIDSが広まり始める時代でもある。実際、マイノリティによる炭鉱スト支援者のなかにも感染者が出始めることとなる。いろいろな苦難を抱えつつも乗り越え、両者はそれなりの綻びをみせつつも「連帯」してゆく。

支援者は基本男性だがそのなかにステフ(Steph)という女性がいる。

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(公式サイトより)

最高にかっこいい。どこかでみたことあるような気がしていたが、なんとGoTだった。彼女の名前はフェイ・マーセイ(Faye Marsay)。GoTでマーセイは、ブレ―ヴォスのジャクェンのもとで修行をしていた女性ウェイフを演じていた。

「Faye Marsay」の画像検索結果
Game Of Thrones: Faye Marsay shoots down fan theory regarding Arya and The Waif | Metro Newsより、右側)

 ただウェイフはアーリャと同じくらいの身の丈で、本作ではもう少し背が高いように見えたのですぐにはわからなかったけど。

この映画で印象的なシーンは侮蔑を転倒するところだろう。同性愛者らによる支援であることに拒否反応を示し続けていた炭鉱街の住人がその支援の話をマスコミにリークすることで、ホモフォビアを利用して支援を打ち切りにしようとする。そこで支援者たちはむしろその侮蔑を逆手に取り、「セクシャル・マイノリティにはある長い「伝統」があるんだ」ということを思い出し、同性愛者が炭鉱労働者を支援するという事実を自分たちの活動のアイデンティティとして掲げてゆこうと決める。そして標語を掲げたグッズやフェスまで開いてしまう。ここに原題「プライド」が大きく関わってくるのである。プライドとはデモンストレーションの名であり、また侮蔑を反転させてプライドにという戦略でもある。