森山至貴『LGBTを読みとくーークィア・スタディーズ入門』(ちくま新書、2017年)

森山至貴『LGBTを読みとくーークィア・スタディーズ入門』(ちくま新書、2017年)を読み終える。 

LGBTを読みとく: クィア・スタディーズ入門 (ちくま新書1242)

LGBTを読みとく: クィア・スタディーズ入門 (ちくま新書1242)

 

非常に優れた入門書。なにより構成が素晴らしく、よく練られていると思う。本書のなかでとくに説得させられたところは、第一章で書かれているように、「良心」ではなく「知識」とその探求こそが重要であるということ。良心では人を傷つけることを防ぎようがない。だからこそ、好奇心を持っていろいろなことを調べなければならないし、知らなければならない。

ただ全体的に、論理がいまいち取れないところがあった。クィア・スタディーズ自体が難解で、それを入門レベルにしたからなのかという気もするけど…。例えば、アメリカにおけるHIV/AIDS危機の際に、ゲイ・アイデンティティの称揚の限界が露呈したというところ。確かに、それが社会構造の問題だということは書かれているが、それがアイデンティティの称揚の限界の認識とどうつながるのか、もっと説明が欲しい。あと、内容とは関係ないが、デ・ローレティスによる学術界への「クィア」という語の導入の説明で、「クィア(gueer)」となってる(124頁)。

とはいえ、初めて知れたこと、あらためて自分の勉強の甘さを多く気付かせてくれた本でもあり、勉強になった。論理が取れないところのもやもやは、さらなる勉強への意欲を灯してくれたとも思うので、これを機に、もっと読んでいきたい。

(4/17/2017)